明治工芸作家紹介 III
並河靖之 Namikawa Yasuyuki (1845-1927)
並河靖之は19世紀後半にかけて、日本の近代七宝の原点である有線七宝にこだわり、独自の世界観を極めたことで、欧米諸国から高い評価を受けました。
その作風は、四期にわたり変化を繰り返し、様々な技術や意匠、新たな釉薬の開発など、
さらなる成長を遂げながら、より洗練された作品へと進化していきます。当時の博覧会では数々の受賞歴を誇り、1896年には帝室技芸員に任命されました。明治から現代に至るまで、常に高い評価を受け続けたことから、並河靖之が生み出した作品は世界が認めた七宝焼の最高峰といえるでしょう。
細密かつ豊かな色彩、四季折々の意匠、そして研ぎ澄まされた透明な黒釉薬。類稀な技術と洗練された感性に基づいたその作品は、100年以上の時を経てなお光りを放ち、世界の人々を魅了しています。
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【国内外における受賞歴】
1876年(明治9) フィラデルフィア万国博覧会
1878年(明治11) パリ万国博覧会
1883年(明治16) アムステルダム万国博覧会
1884年(明治17) ニューオリンズ万国博覧会
1885年(明治18) ロンドン万国博覧会
1888年(明治21) バルセロナ万国博覧会
1889年(明治22) パリ万国博覧会
1893年(明治26) シカゴ万国博覧会
1897年(明治30) ブリュッセル万国博覧会
1900年(明治33) パリ万国博覧会
1904年(明治37) セントルイス万国博覧会
1910年(明治43) ロンドン万国博覧会
1915年(大正4) サンフランシスコ万国博覧会
【国内外での所蔵先】
大英博物館(英国)
ヴィクトリア&アルバート
博物館(英国)
三の丸尚蔵館
東京国立博物館
京都国立近代美術館
並河靖之七宝記念館
清水三年坂美術館